秀峰 SCHOOL REPORT SHUHO SCHOOL REPORT

授業実践

授業で"哲学する"

5年生の倫理の授業は、先日、ソクラテス・プラトン・アリストテレスについて学び終わり、本日は死刑制度・裁判員制度について哲学する時間にしました。


まずは、下記の3つのことを行いました。
・死刑制度の賛否を全員に手を挙げてもらう(賛成35、反対4)
・死刑制度について賛否を6人1班でディベート
・何班かに意見を発表してもらう


次に下記の3つのことを行いました。
・死刑制度について日本の世論調査や賛否の理由、世界の状況を資料を使って説明
・裁判員制度について資料を使って説明
・ある殺人事件(夫が義母、妻、子を殺害。原因は義母の度重なる夫への侮辱。義母と妻子を一体として考えてしまい妻子も殺害。妻の弟は死刑を望んでいる等)について説明し、この場合、あなたが裁判員なら死刑の判断をするかしないかを手を挙げてもらう。(死刑判断をする21、しない11、わからない4)


そして先週放映された『報道特集』の動画を30分程度視聴しました。
その番組は、下記のような内容です。
・家族3人を殺害し、罪と向き合う日々を送る死刑囚。
・一審の裁判員裁判では死刑を望んだ遺族が、被告の反省を感じたり被害者にも原因があったと思うようになったりし、裁判のやり直しを最高裁に求める。しかし、上告は棄却され死刑が確定する。
・遺族が死刑を望んでいることを重視して一審で死刑の判断をしたが、遺族の意思の変化により死刑の判断を覆したくなった(でも、覆せない)裁判員の苦悩


番組視聴後、あらたに下記のことを生徒に聞きました。
・視聴してみて、もう一度同じ裁判員裁判で裁判員となったとしても死刑判断をする
人(視聴前は21名でしたが、10名に減る)
・死刑制度の賛否を再度聞く。(視聴前35だった賛成が29に減る)


今回の授業はディベート重視ではなく、哲学することを重視した授業です。意見が変わることは悪いことではありません。むしろ、より本質に近づいたと言えます。本質はそれぞれ人間によって違うというような相対主義に陥ることなく、ソクラテスのように本質を追い求め続けることが哲学することであり、生徒たちも今後も様々なことについて哲学していってほしいと伝えて授業を締めました。


追記
授業後、ある生徒が「先生、私も先週この番組を家族で見て、家族でディベートしました」と言ってきたのには、びっくりしました。


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