キャリア講演会
2月8日(土)、東京大学第28代総長を務め、現在一般社団法人「プラチナ構想ネットワーク」会長として持続可能な社会の実現へ向けてご活躍されている小宮山宏先生をお招きし、キャリア特別講演会を行いました。
ご自身の中高・学生時代は、野球などのスポーツに熱中していたことや、卒業論文をきっかけに研究者になり、失敗しながらも楽しく研究者生活が送れたこと、東京大学総長となって、情報工学にヒントを得た「自律分散協調系」という考えで教授群をまとめ、リーダーシップを発揮した経験などを、とても分かりやすい言葉でお話しいただきました。
科学技術の進歩により生じた「気象リスク」「長寿化」「莫大な知識量」により、現代社会は人類史の転換期にある。様々な社会課題が生じているが、これら緊迫する課題の解決へ向けて、持続可能で希望のある未来社会を築くこと、それには再生可能エネルギーを利用し、都市鉱山に眠る資源をリサイクル活用する完全循環社会、老若男女がだれでも自己実現できる社会が必要である。このような我々が目指すべき社会を「プラチナ社会」と提言し、プラチナ構想ネットワークを設立、企業や自治体、大学が有している先端技術と文化的想像力を繋げ、課題解決を促進する活動を行っている。
実際に実現してきた具体例として、解体したビルの鉄スクラップから車を製作したことや、2002年にご自身で建てられた「小宮山エコハウス」、そして再生可能エネルギーとして有力な太陽光発電、風力発電と農業などの第1次産業を結び付けた普及方法と可能性について、熱く語られました。
生徒たちも発電と農業を結び付け収益改善を図るアイデアなどに興味を引き立てられ、熱心にメモをとる様子がありました。
今後の社会を創る世代こそが課題解決を担う主体である、ということを丁寧にお話しくださったことで、生徒たちの意識にも変化があったことが、事後レポートからも伺えました。
降雪の影響がある中、遠路はるばる本校までお越しいただき、貴重な講演をいただき、誠にありがとうございました。
【以下、生徒の感想を抜粋したものです】
・今回の講演で私は初めて「プラチナ社会」という考え方を知りました。現在が人類の転換期であるというのは、人生経験の少ない私でも、地球温暖化や少子高齢化についてのニュースを聞くたびに思います。そんな中でこんなにも強烈なインパクトのあるビジョンが示されると、少し希望を持てる気がしました。
・私は将来建築士を志望しているため、ビルを解体した際の鉄をリサイクルすることで自動車を製造できることは興味深かった。環境面でも経済面でも資源を「都市鉱山」のリサイクルで賄うということは、とても意義のあることだと分かったので、建築の分野でも「プラチナ社会」を目指す活動に関わることができたら良いと思った。
・日本及び世界の将来を考え、環境問題を解決するだけでなく、新たな利益の循環を生む資源・エネルギー産業の発展を志す小宮山先生の理念を拝聴し、これからの社会を生きていく私たちこそがこの問題に取り組み、また、日本の経済を成長させていく存在なのだと実感しました。
・今回の講演を通して感じたのは「視点の変換」がとても大切だということだ。これまで価値がないと思われていたところに新たな価値を見出すことで、革新的な社会を創ることができるということを知った。これまでの社会の変化も捉えきれないほど早かったが、今後はそれが技術革新によりさらに早くなるらしい。その先頭に立つのは私たちで、成功も失敗も人に任せることはできない。より多くの知識と芯をもった思考力を養うことが大切だと心から感じた。
・プラチナ社会の構想はできている、あとはやるかやらないかが問題だということが一番印象に残った。私たち世代が一番活躍できる2050年代までに、できることを日常から意識したいと思った。

